東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2018/7/17
映画鑑賞
 ここ2ヶ月の間に、邦画を中心に数本の映画を鑑賞いたしました。
 邦画は、やはり、「家族」をテーマにすることが多く、先日のカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」、山田洋次監督の「妻よ 薔薇のように 家族はつらいよⅢ」、内館牧子氏が原作の「終わった人」も、家族がテーマでした。

 どの作品も、重いテーマを扱っていますが(「万引き家族」は犯罪でしかつながりのない疑似家族、「家族はつらいよ」は夫婦間の信頼と甘え、「終わった人」は仕事以外の社会での役割を見いだせない辛さ)、いずれも登場するキャラクターが明るいのが救いだと思いました。

 また、池井戸潤氏が原作の「空飛ぶタイヤ」も、企業の不祥事対応のうえでは、参考になる場面もありました。
 長瀬氏やディーン・フジオカ氏、高橋一生氏らは、その抜群の感度の良さから、権限を有する者の判断に背いて不祥事を明らかにしようとしたわけですが、これまでは、周囲が彼らを理解することができない場合、ならず者、一匹狼、異端者等として、肩身の狭い思いをして、生きていかざるを得ないのが現状だったと思います。
 しかし、この映画の中では、組織の中の派閥争いとも重なって奇跡が起こり、見ている者は救われた思いがしました。最も印象的だったのは、主人公の長瀬智也氏が、「こんな状況の中で精一杯やった思いが誰かに届いて、奇跡が起きることを信じてるんだ」とつぶやいている場面でした。もみ消される可能性が高い、パージされるという暗い見通しの中でも自分を信じる自分を信じようとしている姿勢に心を打たれました。

 このブログの中でも、何回か触れていますが、今後のAI時代では、1つのシステムの中にきっちりはまってパフォーマンスを出すことが評価される時代は終わりつつあります。
 この映画のように、各自がどうやって自分のフレームを超えて、奇跡を起こしていくかは、自分がいる場所やその枠組みの中で懸命に努力しつつも、その場所や枠組み、組織に属さない別の視点を自分の中に持ち、その視点から考えることが、今後、益々大切になると思います。私も、自分を信じて努力を続けたいと思います。
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