東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

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2015/5/2
機能性表示食品
 食品表示法(平成25年6月に成立)は、食品を摂取する際の安全性及び一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するため、食品衛生法、日本農林規格(JAS)法、健康増進法の食品の表示に関する規定を統合して、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設するためのものに制定され、平成27年4月1日より施行されました。
 これまでの栄養機能食品、特定保健用食品(トクホ)の他に、体にどのように良い食品なのかを、企業の責任で国の審査なしに表示できる(消費者庁に科学的根拠を提出すればよい)機能性表示食品制度も採り入れ、消費者庁は、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインを公表しています。

 機能性表示食品は、生鮮食品も対象です。私も、このガイドラインを読んでみました。
 ガイドラインによると、機能性表示食品の表示パターンは、以下の3種類のようです。
①商品による臨床試験がある場合
 「当該商品にはA(機能性関与成分)が含まれるので、B(例えば血圧を下げる・・)の機能があります」という表示
②商品を使った既存の研究レビュー(実験結果)がある場合
 「当該商品にA(機能性関与成分)が含まれ、B(血圧を下げる・・)の機能があると報告されています」という表示
③機能性関与成分の研究レビュー(実験結果)がある場合
 「当該商品にはA(機能性関与成分)が含まれています。AにはB(血圧を下げる・・)の機能があることが報告されています」という表示
 
 米国のダイエタリーサプリメントの制度を参考に作られたと言われていて、企業も、機能性表示食品制度の導入により、研究開発部門に投資することができるとも言われています。
 ただ、上記のガイドラインが示す表示の例文だけ見ると、最初は、私には違いが分かりませんでした。しかも、上記の③の表示も可能なら、消費者庁の審査も不要なので、野菜や魚等、一般に体によい機能を有するという研究レビュー(実験結果)のある成分を含む食品であれば、当該成分の影響の程度にかかわらず、まるで体によいかのような行き過ぎの表示になる危険性もあります。

 消費者としては、当該商品を使った臨床試験にて一定の機能を確認している食品なのか、単に体によいとされている成分が含まれているだけの食品なのかの注意が必要だと思いました。自分の体は自分で守らなければなりません。

 機能性表示食品は、早ければ6月頃から、店頭に並ぶと言われています。食品メーカーの6月の株主総会でも、株主から注目され(ビジネスチャンスでもあり、行き過ぎた表示がリスクにもなり得る)、質問される可能性のある事項だと思います。
 また、あまりスペースのない包装(パッケージ)に、どのように表示をし、どのように広告をしていくのか、リーガルの観点のみならずマーケティングの観点からのチェックも必要と思いました。
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