東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2019/5/1
平成から令和へ
 昨日は、平成最後の日でした。皆さまは、どのようにお過ごしになったでしょうか。
 私は、連休前半を利用して、夫の友人の税理士の岡本真一先生と情報交換をし、また、久しぶりにウォーキングを楽しみました。
 京田辺市を回りましたが、この付近は、古い神社やお寺が多いことを初めて知りました。

 一休宗純氏が晩年を過ごした一休寺(酬恩庵)は、JR東海の「そうだ、京都に行こう」のCMに使われたことがあります。立派な方丈枯山水庭園を持っていて、新緑まぶしい山の借景が見事なお庭でした。一休禅師は、後小松天皇のご落胤と言われていることは知っていましたが、寺内の彼の墓地を宮内庁が管理していることも初めて知り、びっくりしました。
 さらに、一休禅師は、81歳に大徳寺の住持になった後も、この一休寺から、洛中にある大徳寺まで歩いて通われたことにさらにびっくりし、その健脚にあやかって、親や伯母のためにお守りを買い求めました。

 また、国宝十一面観世音菩薩を御本尊とする大御堂 観音寺も、非常に見ごたえがありました。この十一面観世音菩薩は、木心乾漆という天平時代独特の技法で造られ、漆が5mm~2cmも塗られているそうです。ちょっと前に読んだ本には、漆を乾かすにも条件があり、室温が20度から25度、湿度が65%から80%でないと固まらず、塗って乾かして塗って乾かしてという工程を、少なくとも20回は繰り返さないと固まらないそうです。
 しかし、一度固まった漆は、酸でもアルカリでも温度変化でも、ほとんど劣化しないとのことでした。744年に安置されたというこの十一面観世音菩薩は、天平時代の天下泰平と国民豊楽の思いを見事に表現していて、本当に美しく、国宝指定も納得できるものでした。

 平成最後の日は、このように過ごしました。皆さまにとって、令和が、天平や平成と同じく、素敵な時代になりますよう、祈念しております。 
2019/2/17
花椿 「ダルちゃん」単行本を拝読しました
 本年の初めてのブログです。本年も、よろしくお願いいたします。

 皆様、「ダルちゃん」というコミック作品をご存知でしょうか。資生堂のウェブサイト「ウェブ花椿」で、2017年から約1年にわたり連載された、はるな檸檬さんの作品です。主人公の「ダルちゃん」は、24歳の派遣社員で、本当の自分を押し殺し、周囲と足並みを揃えて”普通”(作品では、「擬態」という表現が使われています)に生きていますが、日々、生きづらさを感じていて、自分なりの幸せを感じ、詩の創作に励んで希望を見出していくというストーリーです。先日、この作品が新井賞を受賞し、作家のはるなさんと、新井賞の創設者である三省堂書店の新井見枝香さんとの対談記事を週刊誌で拝見しました。新井賞は、三省堂書店の書店員・新井見枝香さんが、店頭での販促を兼ねて、個人的に推したいと選定した本を対象とするもので、直木賞・芥川賞の発表と同じ日の夜に発表されます。

 この対談記事の中で、新井さんが、20代女性に向けて書いた作品であるが、むしろ、40代~50代の男女に響くのではないか、何かを踏み越えて覚悟を決めた人がこの作品を読むと、これでよかったんだと救われるのではないかと指摘をされていました。
 他方、ネット上では、少し辛口の評価もあるようです。作品の最後で、恋人と別れ、派遣先の変わった主人公のダルちゃんが、「素の自分も悪くないって思えると、擬態も苦痛じゃないっていうか 擬態している姿も私自身なんだなって思えるというか・・・」とコメントしているのですが、このコメントについて、少数者が多数者に迎合しているようで、何も変わっていなくて、がっかりしたという趣旨の感想も目にしました。
 
 いずれの感想も、なるほどと思いました。対談記事の中で、新井氏が、「登場人物に感情移入ができなかった。具体的にどこがいいと言葉にすることが難しかったが、本当のことが書いてあると思った、この本を読むことで真理だと思わせる力がある、いい本は、よくも悪くも、人をかき乱すもので、読む時の状態で、違った意味で捉えられる」とコメントされていましたが、私も、同じ印象を抱きました。私も、まさに「この40代~50代」ですが、私の場合は、ダルちゃんと違い、無理に「擬態」をすることなく、自分を信じて、努力を続けていきたいと思っているタイプです。ダルちゃんも、最後は、詩の創作活動を通じて、自分らしく生きようとしていますし、新しい派遣先で、自身の詩の創作を評価され、居心地の良さも感じています。ダルちゃんが、本当の姿である「ダルダル星人」として生きることができればよいのですが、今の日本の社会では、それは難しいでしょうし、人の”素”は、そう簡単には変わりませんから、多様性が進めば、かえって、ある程度の「擬態」が必要な気がします。構成員の全員が、お互いを理解し、お互いの力を最大限に発揮して、調和していくためには、”柔らかさ”や”しなやかさ”が求められると思います。資生堂の花椿サイトにて、お笑い芸人の村上健志氏が、「ダルちゃんの逞しさを思うと、強風に吹かれても折れることのないたんぽぽを思い出しました」とのコメントを寄せています。
 まさに「強風に吹かれても折れないたんぽぽ」という表現は、私の印象としても、ピッタリだと思いました。

 たいへん読みやすい作品です。このような作品を世に送り出す、資生堂のブランドの創造力にも、脱帽いたします。
2018/12/29
本年もお世話になり、ありがとうございました.
 本年も残り3日となりました。本年は、日本国内の企業の不祥事が明るみになることが多く、世界的にも、政治及び経済も、不透明な状況です。これから何が起きるか、分かりません。

 私の来年のテーマは、やはり、AI技術の著しい進歩を知り、「いかに、現在の自分を超えていくか」です。世界のエリートは、美意識を鍛えているようですし、来年は、ビジネスだけでなく、アートの世界も含めて、さまざま分野に身を置いて、現在の自分を超えていく努力を続けたいと思います。
 皆様、良いお年をお迎えください。
2018/11/18
AIに関する考察
 ちょうど1年前の2017年11月18日に、【カスタマー・ドリブン・マーケティングとAI】というブログを掲載しましたが、今年も、先日、AIに関するセミナーに参加し、たいへん興味深いお話をうかがいました。
 
 スピーカーのお1人は、脳科学者の中野信子先生で、先生方の対談の中で、以下のような指摘がありました。
① AIは、競争社会からの離脱。資本主義の先にあるものである。
② 過去を学習したAIは、差別も学習する。差別的な考え方に基づき選別をしてしまう。
③ 裁判官ではなく、AIが判決文を書けばよいというが、過去から学んでいるAIからは、アウトサイダーは、生まれない。
④ AIは、人間の視覚と聴覚の機能は持っているが、触覚の実現は難しい。毛穴の奥の立毛筋には可聴域の音を感じる働きがあり、人間の体毛が少なくなったのは、コミュニケーション能力を高めるためであると唱える学者もいる。You tubeを見て聞いただけでは分からない情報を、人は、直接会って、肌で感じている。
 
 アマゾンは、優秀な人材を、コンピューターを駆使して探し出す仕組みを構築するため、2014年から専任チームが履歴書を審査するプログラム開発に従事してきましたが、ソフトウェア開発などの技術関係の職種では、過去、ほとんどが男性からの応募であったため、システムは男性を採用するのが好ましいと認識し、逆に、履歴書に「女性」に関する単語の記載(例えば、女子大卒業や女性チェス部の部長といった単語の記載)があるだけで、評価が下がっていた事実に気づき、プログラムを修正したものの、別の差別をもたらす選別の仕組みが生まれていないという保証はないとし、2017年初めに、チームは解散という報道が、今年の10月になされたところです。チームを解散させたのは、アマゾンの良心だと言われています。

 また、報道によると、今年の10月には、英科学誌ネイチャーにて、自動運転車の倫理上の問題に関するアンケートの結果をまとめた研究論文を掲載されたようです。これは、2016年6月に、モラル・マシンと題したアンケート(10か国語対応)をインターネット上に公開し、公開から18か月間で集まった200万件以上のアンケート結果を分析したものだそうです。

 その分析結果ですが、西洋(北米や欧州など主にキリスト教諸国)は、子どもを救いたいという傾向が強く、他方、東洋(日本や中国など儒教の考えが浸透している極東の国々)は、上下関係を重んじる儒教の考えが浸透しているため、高齢者を救うとした人が多かったそうです。欧米では、損害賠償金額を考えれば、明らかに、子どもより高齢者のほうが少ないという観点から、躊躇なく、高齢者を選んでいるという話も聞きました。
 そして、報道によると、「より多くの人を救う」という点については、個人主義が発達した国でこの傾向が強く見られたとのことで、米国は14位。これに対して日本は117位、中国は113位で、さらに、東洋のほとんどの国は「歩行者を救う」と考える傾向にあり、日本は1位、そしてヨルダン、パレスチナ、イランと続いたとのことでしたが、東洋グループの中国は、「歩行者を救う」と考える順位は、116位だったそうです。人口の多さが影響しているのでしょうか。
 他方、法に則った人を救うという答えについて、日本(4位)や中国(9位)でしたが、同じ東洋グループのインドは、97位と大きく異なっていたそうです。

 論文では、誰を救うかのアルゴリズムには、個人主義か集団主義かが最も重要なポイントになると説明され、個人に重きを置く社会なのか、集団に重きを置く社会なのかの隔たりが、ユニバーサルな機械倫理を構築する上で大きな障害になる可能性があるとの指摘で、なるほどと思いました。
 
 現在、欧米を中心としてAIの開発が進んでいますから、どういうアルゴリズムが採用されるのか、関心があるとともに、中野先生がご指摘をされた、人間は、肌でも音を感じているという、まさに「肌感覚」は科学的に証明されているという点は、非常に感銘を覚えました。AIの持たない人間の五感である、触覚、嗅覚、味覚を意識した製品は、今後、期待できる分野かもしれません。

 以上の話を夫にしたところ、「自分は、コミュニケーション能力を発達させるために、頭髪が薄くなったのか」と、”好感度センター”を持っている自分を慰めておりました(笑)。
2018/9/30
「劣化するオッサンの処方箋」を拝読しました
「劣化するオッサンの処方箋」は、ビジネス書大賞2018年準大賞受賞作である「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」の著者である山口周氏の著作です。タイトルも記述内容も、刺激的ですが、興味深い指摘が多数ありました。

 印象に残ったのは、これからは、3ステージではなく、4ステージモデルで考える時代であるという点です。4ステージとは、0~25歳までの基礎学力をつけるファーストステージ、25~50歳までのいろんなことにトライをして経験を積み、自分の得意と不得意を理解するセカンドステージ、50歳~75歳までの世の中に実りを返していくサードステージ、75歳~100歳までの余生を過ごす時期に分けられ、人生のピークがかなり後半側にシフトするので、仕込みの時期が長くなることを意味します。実りのあるサードステージを過ごすためには、セカンドステージの過ごし方、特に学びの密度を上げることが重要だが、チャレンジの難しさは、チャレンジそれ自体より、何かを止めることにあるとありました。

 私は、40代後半で、そろそろセカンドステージを終えて、サードステージに入ります。自分のセカンドステージは、安定していたとはいい難いところ、不安定であったが故に、自分の強みと弱みを認識し、新たなチャレンジをせざるを得なかったことに、今は、たいへん感謝をしています。まだまだ、新たなチャレンジを続けたいと思います。

 ところで、数年前に、「妻がオッサンになりました」という著書が話題になったことがありますが、最近、立ち上がるときや座るときに「よいしょ」等と声を出すことの多い私は、夫から、「オッサン化した」と言われることもあり、これ以上、言動が“オッサン化”しないための努力も必要です(笑)。しかし、そういう夫も、私以上に、動作に声が伴うことが多い印象です。
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