東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2019/9/23
映画「ROCKETMAN」を拝見しました、普通でいることの難しさ
 この連休中に、エルトン・ジョンの半生を描いた「ROCKETMAN」を拝見しました。有楽町の映画館は、満員で、人気の高さをうかがえました。
 ボヘミアン・ラプソディーは、Queenの曲が多数使われておりましたが、この「ROCKETMAN」においても、エルトン・ジョンの曲が20曲以上も使われ、また、ミュージカル仕立てで、興味深く拝見しました。両作品は、監督も同じです。
 エルトン・ジョンは、アルコールやドラッグ、買い物、処方薬などの依存症や過食症に悩まされ、依存症更生施設に入所し、グループミーティングの場で、自分の幼少時からの話をするという構成で映画は進んでいきます。
 一度音楽を聴けば、すぐにピアノを弾くことができ、歌詞を見れば楽曲が湧いてくるというという天才のエルトン・ジョンが、「普通がよかった」と劇中で語っていたのが印象的でした。

 先の台風15号により、いまだ千葉県内の停電が続いている状況もあり、「普通に健康に過ごすことができる」ことを心から幸せに思うべきですが、最近は、「普通でいる」ことは、難しい気がいたします。

 「普通でいる」というのは、どういうことなのか、私は、最近、考えることが多くなりました。政府は、最近、AIやIoT、通信に関する研究会等を数多く開催しています。内閣府の経済社会総合研究所は、9月に「AIは労働者の代替か、補完か」というタイトルで英文の論分を公表しています。
この論文の内容ですが、
 まず、新しいデジタル技術の導入の影響について、(1)労働時間と業務の非定型性の変化、(2)職場における雇用者数の変化に着目し、独自のアンケート調査に基づき、技術の導入前後でのDifference-in-Differences分析を行った結果、
AIなどの新しい技術の導入は、
(1)労働時間を減少させ、反復の少なさでみた業務の非定型性を増加させること、
(2)正規雇用を増加させることが明らかとなった。この結果から、AIなどの新しい技術は、労働代替でもあり、労働補完でもあると言える。」という結論になっています。
 ただ、この論文の中には、decision-making と communicationの領域では、AIは広がっておらず、それは、creative intelligence の分野及びsocial intelligenceの分野と一致しているという記述があります。
 企業のトップに要求される意思決定や社会的な知能が必要とされる分野が、AIが広がっていない分野なのですから、これらの分野は、これまでの「普通」という基準では、遂行できない分野のような気がいたしますし、何のためにやっているのかという「心根」が、より重要になってくる気がいたします。まずは、我々が、地域や環境に対して貢献できることを実行していくことが大切だと思っております。

 映画「ROCKETMAN」を見ながら、こんなことを考えました。
 千葉県館山市出身のX JapanのYOSHIKIが、館山市に1000万円を寄付したというニュースに触れましたが、彼が千葉県出身であることは、「跳んで埼玉」という映画を見て、初めて知りました。私は、埼玉県で育っておりますが、千葉県と異なり、埼玉県は狭くて海もありません。映画では、さんざんな描かれ方をしていた埼玉県でしたが、今回は、海もなくその小ささゆえに、台風の被害も小さくて済んだのかもしれません(笑)。
2019/7/16
7pay騒動
7payの不正利用、7IDの認証システムの脆弱性などにより、7月11日は、セブンイレブンの日なのに、7payは利用停止状態のままです。

私は、PASMO、Suicaのような交通系の電子マネーは使いますが、Pay PayやLINE Pay、おサイフケータイ機能も使わず、不正使用の被害とは程遠い生活を送っております。

先日、ラジオを聞いていましたら、「同僚と一緒に食事をしたら、お財布を出したのは自分1人で恥ずかしかった」という視聴者の声を紹介しておりました。この放送を聞いた私は、さっそく、事務所近くのコンビニで、どれだけの方がお財布を出すのか見ておりましたが、銀座という場所柄故でしょうか、私が目にした方全員が、お財布を出して会計をしておりました。正直、安堵いたしました。
私の一番近くにいる夫は、今でもスマホすら持っておらず、ガラケーを使っております。ガラケーはなくなるどころか、進化もしているようです。

アフリカは、スマホの爆発的な普及で、決済機能や物流サービスを提供するスタートアップ企業が次々と誕生し、政府の代わりにビジネスインフラを提供することで、世界のどこの国のバリューチェーンにも結び付く可能性があります。日本の経済産業省が毎営業日発信している、「MET Journal」の7月特集はアフリカで、日本政府も注目しています。夫のようなdeveloping personのほうが、爆発的な変化や躍進の一番の可能性を持つのかもしれないと思いました(笑)。
2019/5/1
平成から令和へ
 昨日は、平成最後の日でした。皆さまは、どのようにお過ごしになったでしょうか。
 私は、連休前半を利用して、夫の友人の税理士の岡本真一先生と情報交換をし、また、久しぶりにウォーキングを楽しみました。
 京田辺市を回りましたが、この付近は、古い神社やお寺が多いことを初めて知りました。

 一休宗純氏が晩年を過ごした一休寺(酬恩庵)は、JR東海の「そうだ、京都に行こう」のCMに使われたことがあります。立派な方丈枯山水庭園を持っていて、新緑まぶしい山の借景が見事なお庭でした。一休禅師は、後小松天皇のご落胤と言われていることは知っていましたが、寺内の彼の墓地を宮内庁が管理していることも初めて知り、びっくりしました。
 さらに、一休禅師は、81歳に大徳寺の住持になった後も、この一休寺から、洛中にある大徳寺まで歩いて通われたことにさらにびっくりし、その健脚にあやかって、親や伯母のためにお守りを買い求めました。

 また、国宝十一面観世音菩薩を御本尊とする大御堂 観音寺も、非常に見ごたえがありました。この十一面観世音菩薩は、木心乾漆という天平時代独特の技法で造られ、漆が5mm~2cmも塗られているそうです。ちょっと前に読んだ本には、漆を乾かすにも条件があり、室温が20度から25度、湿度が65%から80%でないと固まらず、塗って乾かして塗って乾かしてという工程を、少なくとも20回は繰り返さないと固まらないそうです。
 しかし、一度固まった漆は、酸でもアルカリでも温度変化でも、ほとんど劣化しないとのことでした。744年に安置されたというこの十一面観世音菩薩は、天平時代の天下泰平と国民豊楽の思いを見事に表現していて、本当に美しく、国宝指定も納得できるものでした。

 平成最後の日は、このように過ごしました。皆さまにとって、令和が、天平や平成と同じく、素敵な時代になりますよう、祈念しております。 
2019/2/17
花椿 「ダルちゃん」単行本を拝読しました
 本年の初めてのブログです。本年も、よろしくお願いいたします。

 皆様、「ダルちゃん」というコミック作品をご存知でしょうか。資生堂のウェブサイト「ウェブ花椿」で、2017年から約1年にわたり連載された、はるな檸檬さんの作品です。主人公の「ダルちゃん」は、24歳の派遣社員で、本当の自分を押し殺し、周囲と足並みを揃えて”普通”(作品では、「擬態」という表現が使われています)に生きていますが、日々、生きづらさを感じていて、自分なりの幸せを感じ、詩の創作に励んで希望を見出していくというストーリーです。先日、この作品が新井賞を受賞し、作家のはるなさんと、新井賞の創設者である三省堂書店の新井見枝香さんとの対談記事を週刊誌で拝見しました。新井賞は、三省堂書店の書店員・新井見枝香さんが、店頭での販促を兼ねて、個人的に推したいと選定した本を対象とするもので、直木賞・芥川賞の発表と同じ日の夜に発表されます。

 この対談記事の中で、新井さんが、20代女性に向けて書いた作品であるが、むしろ、40代~50代の男女に響くのではないか、何かを踏み越えて覚悟を決めた人がこの作品を読むと、これでよかったんだと救われるのではないかと指摘をされていました。
 他方、ネット上では、少し辛口の評価もあるようです。作品の最後で、恋人と別れ、派遣先の変わった主人公のダルちゃんが、「素の自分も悪くないって思えると、擬態も苦痛じゃないっていうか 擬態している姿も私自身なんだなって思えるというか・・・」とコメントしているのですが、このコメントについて、少数者が多数者に迎合しているようで、何も変わっていなくて、がっかりしたという趣旨の感想も目にしました。
 
 いずれの感想も、なるほどと思いました。対談記事の中で、新井氏が、「登場人物に感情移入ができなかった。具体的にどこがいいと言葉にすることが難しかったが、本当のことが書いてあると思った、この本を読むことで真理だと思わせる力がある、いい本は、よくも悪くも、人をかき乱すもので、読む時の状態で、違った意味で捉えられる」とコメントされていましたが、私も、同じ印象を抱きました。私も、まさに「この40代~50代」ですが、私の場合は、ダルちゃんと違い、無理に「擬態」をすることなく、自分を信じて、努力を続けていきたいと思っているタイプです。ダルちゃんも、最後は、詩の創作活動を通じて、自分らしく生きようとしていますし、新しい派遣先で、自身の詩の創作を評価され、居心地の良さも感じています。ダルちゃんが、本当の姿である「ダルダル星人」として生きることができればよいのですが、今の日本の社会では、それは難しいでしょうし、人の”素”は、そう簡単には変わりませんから、多様性が進めば、かえって、ある程度の「擬態」が必要な気がします。構成員の全員が、お互いを理解し、お互いの力を最大限に発揮して、調和していくためには、”柔らかさ”や”しなやかさ”が求められると思います。資生堂の花椿サイトにて、お笑い芸人の村上健志氏が、「ダルちゃんの逞しさを思うと、強風に吹かれても折れることのないたんぽぽを思い出しました」とのコメントを寄せています。
 まさに「強風に吹かれても折れないたんぽぽ」という表現は、私の印象としても、ピッタリだと思いました。

 たいへん読みやすい作品です。このような作品を世に送り出す、資生堂のブランドの創造力にも、脱帽いたします。
2018/12/29
本年もお世話になり、ありがとうございました.
 本年も残り3日となりました。本年は、日本国内の企業の不祥事が明るみになることが多く、世界的にも、政治及び経済も、不透明な状況です。これから何が起きるか、分かりません。

 私の来年のテーマは、やはり、AI技術の著しい進歩を知り、「いかに、現在の自分を超えていくか」です。世界のエリートは、美意識を鍛えているようですし、来年は、ビジネスだけでなく、アートの世界も含めて、さまざま分野に身を置いて、現在の自分を超えていく努力を続けたいと思います。
 皆様、良いお年をお迎えください。
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