東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2020/3/1
映画 「フォード&フェラーリー」を拝見いたしました
 新型肺炎の感染拡大の影響で、日曜日の銀座は閑散としているかと思いましたが、本日3月1日の銀座の歩行者天国には、結構な人がおられ、映画館にも、そこそこ人が入っていました。私は、本日、日本で公開されて1か月以上経過した「フォード&フェラーリー」を拝見しましたが、実に面白い映画でした。

 私は、カーレースのことは全く分かりません。しかし、フォードが、ル・マンを制覇していたフェラーリーを打ち負かすために依頼をした、元カーレーサーでル・マンの24時間耐久レースを制覇したこともあるカー・デザイナーとカー・デザイナーから依頼をされた才能は高いが協調性のない天才ドライバーの2人が、フォードという企業の組織の論理に翻弄された様子に加え、創業者の祖父から引き継いだフォードの2代目CEOの言動も、見ていて興味深いものでした。
 天才ドライバーは、フォードのマスダンクの発表会でも、開発責任者にひどい車だと面と向かって言ってしまう程、協調性に欠けた人物として描かれていました。

 2人は、フォードからル・マン制覇を依頼されたはずなのに、フォードには別のル・マンチームが作られ、別のチームのほうがアサインされた人材も豊富で、燃料や部品の交換の作業もスピーディーです。最後は、自分を信じるしかない状況下でのレースでした。
 
 まさに、天才カーレーサーは、自分が改良に改良を重ねて開発した自動車と対話をしながら、アクセルを踏んで速度を上げて走行し、フェラーリーも追い抜かれまいと速度を上げた瞬間に、フェラーリーは故障し、リタイアします。私は、“自分を信じ切った結果”の勝利と理解いたしました。

 しかし、この天才カーレーサーは、ル・マンで優勝することができませんでした。ル・マンの1位、2位、3位は、フォードが独占することが確定した瞬間、フォードという企業の論理は、今後の販売戦略に利用するべく、この3台が同時にフィニッシュすることを求めます。天才カーレーサーは、最初はその指示に従わず、自分のレコードを次々に更新していきますが、自分の前後には、もはや自動車が全く見えず、自分の思った走りができていることに感謝をし、涙を流して「HAPPY」と言った後に、フォードの指示に従って、速度を緩める場面は、とても印象でした。
 そして、最後は、同着であっても、後方からスタートをしたフォードの別チームのほうが1位となったわけです。
 
 職人や天才たちの思いは、必ずしも、競争という現実社会では「勝利」に結び付くわけではないのが現実ではありますが、最後まで自分を信じ切った者の幸せも感じた映画でした。
 そして、デイトナとル・マンのレースのシーンは、非常に迫力があり、私もドキドキしながら見ていました。公開直後、アメリカで評価が高かったのも、うなづける映画でした。
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