東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2018/5/1
勾留請求却下・特別代理人選任に関する雑感
 先日、平成29年の東京地裁における勾留請求の割合は、12%を超えたとのニュースを拝見しました。熊本地裁も、勾留請求却下が10%を超えているようです。平成17年までは、勾留請求却下の割合は0.47%だったのが、平成26年には、2.71%にまで上昇したという報道も見たこともがありますから、勾留請求却下率の上昇は、目覚ましいものがあります。私自身も、直近1年の間に、2件の勾留請求却下の経験があります。

 理由は、弁護士の数も増え、当番弁護士などの弁護士会の試みも定着し、勾留請求前に弁護人が選任されるケースが多くなったことや、裁判員裁判の影響、特に若手裁判官の意識の変化等が指摘されていますが、報道によると、勾留請求却下事案は、飲酒の上での暴行や傷害、被害者と加害者間で面識のない痴漢等が多いようですから、身柄を確保しなくても捜査の上では差し支えがないと思われる事件が多いと思います。

 また、法定代理人がいない場合の特別代理人の選任件数は増えているような印象です。特別代理人が選任されるケースとしては、相続人間で利益が相反する場合、さらに唯一の取締役であった社長が亡くなり、親族は社長が保有していた財産を、会社の株も含めて、相続放棄し、会社の議決権を行使する株主がおらず、新たな取締役を選任することができない場合等ですが、裁判所からの推薦依頼を受けて弁護士会が推薦する特別代理人の人数は、私が所属する弁護士会だけでも年間60件程度はあるとのことでした。
 東京には3つの弁護士会があり、しかも、申立人が特定の弁護士を推薦して特別代理人を選任するケースもありますから、東京地裁や東京家裁だけに限っても、年間の申立件数は、増えている印象です。現在の会社法では、取締役を3名以上選任しなくてもよく、簡易な機関設計が可能となった結果かもしれませんし、後継者がおらず、事業承継ができないという状況とも結びついているのかもしれません。

 私の雑感にすぎませんが、時代の流れを感じているこの頃です。
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