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弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2017/8/27
雑草の戦略
 2017年9月号新潮45に掲載されていた、ビートたけし氏と静岡大学農学部教授の稲垣栄洋先生との対談記事から、稲垣先生が執筆された植物学に関するご著書を知り、”雑草の戦略”に触れました。

 雑草は弱いので、「他の植物と戦わない」という戦略をとり、雑草は他の植物が生えているところには生えないのだそうです。そして、人間が農耕を始めると、強い植物は排除されていなくなるから、逆に、雑草はそこに生息地を見つけて芽を出すという、人間と一緒に暮らす戦略を1万年間とってきたそうです。
 しかし、雑草も楽ではなく、農家の方に何度も草取りをされることから、今度は、雑草は、その身を隠す戦略をとり、稲とそっくりな雑草であるヒエが登場して、稲作3000年の歴史の間に発達してきました。また、人間が草取りをすることで、周囲に雑草がなくなるため、逆に地面に光が当たり、さらに草取りで土がひっくり返されることで、土の中まで光が差し込んで、それまで眠っていた雑草の種が一斉に発芽を始めるようになっているそうです。

 最近は、除草剤が登場し、多くの雑草が駆逐されたものの、ついに、菌類や昆虫と同様に、農薬に対して抵抗性を有するスーパー雑草が現れたそうです。人間があまりに除草剤に頼りすぎて除草剤ばかりかけていたので、雑草もその他の生存戦略を発達させる必要がなく、除草剤に対する対応だけをすればよかったという事情もあると指摘されていました。

 人間も、除草剤に頼らずに、植え付け時期を変えたり、農法自体を変えたりする工夫をしているようですが、雑草が生える環境は、いずれも予測不可能なので、いろんな個性のある種を残して、どんな環境になってもどれかが生き残る可能性を考えているという、多様性と個性を大事にし、人間と共生をしてきた雑草の戦略は、非常に興味深いものがあります。

 雑草の戦略は、まさに、臨機応変な戦略です。私も、かかる”雑草魂”を持って、今後の予測不可能な環境下でも、柔軟に対応し、生き抜いていく努力を続けます(笑)。
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