東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2017/7/24
法務部の役割
 経営法友会から、本年6月に「企業法務あるある(第2集)」が刊行されました。
 同会の会員であれば御覧になることができます。私は、知人のご好意で、この書籍に接することができました。

 さっそく拝読すると、なかなか興味深い本で、①法務部が果たす役割(法務部の規模による差異)、②法務部員に求められる能力、③法務部からの回答方法や回答内容のルール(一律に、国内の契約書なら3日以内、外国語の契約書なら9日以内等と定め、契約交渉の時間をとられないように、最初から公平中立な契約書のひな型を作っておくこと等)③顧問弁護士との付き合い方、④法務部員としてのスキルアップのやり方、回答案件の蓄積・データベース化とその閲覧など、多岐にわたり、法務部の皆様がお考えになっている概要を理解することができました。

 私にとって印象的であったのは、他部門での経験や社内に有する強固なパーソナル・ネットワークが、質のよい仕事を進める上で貴重な資産となっているというご指摘でした。
 
 法務部は、非常に経営に近い部門で、事業のリスク等を経営者に説明できることが求められます。アクセルとブレーキの両方の役割があることは誰も認めるところです。ですから、若い頃から、法的知識はもちろんのこと、経営者の視点で判断することを求められ、かかる判断の上で、他部門における業務経験及び社内外のパーソナル・ネットワークは非常に役に立つというご指摘に納得した次第です。この書籍の中にて、「根回し(NEMAWASHI)」の重要性にも言及されていました。

 しかも、企業の海外展開に伴い、外国語による交渉や他国の法令の理解も求められ、海外案件であってもスピードを求められますから、慣れと専門的なノウハウも必要であることは間違いがなく、法務部にとっては、タフな時代だと思います。

 私が、顧問会社の関係者に対し、毎月配信している【広津通信】が、法務セクションは勿論、皆様の役に立つことを祈念して、これからも、配信を続けます。

 最後に、この書籍を拝見し、同じ質問でも、顧問弁護士の言うことが全く違っていたという事例がいくつか掲載されていて、少し、驚きました。私は、判断に迷う案件の場合、過去の判例がなく、基本書にも記載がない新しい分野であることが多いので、関係省庁に電話をし、問題意識と自分なりの理解、考え方を説明し、そのような理解でよいか確認をした上で、回答することを心がけていますが、必ずしもそういうことが行われているわけではないようです。我々弁護士も、日々の鍛錬が必要であることを痛感いたしました。
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