東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

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2016/11/6
「湯を沸かすほどの熱い愛」を鑑賞いたしました
 宮沢りえ氏主演の「湯を沸かすほどの熱い愛」の映画はすばらしいという評価を耳にし、さっそく、この映画を鑑賞しました。10月29日から公開されています。

 確かに、胸が熱くなる映画で、劇場内でも、あちらこちらで鼻をすする音が聞こえました。宮沢りえ氏の演技力はもちろんですが、私が一番感じたのは、宮沢りえ氏が演じる「おかあちゃん」の思いです。余命2ヶ月と宣告された後、非常に落ち込んだものの覚悟を決めて、①1年前に蒸発した夫を連れ戻して、家業の銭湯を再開する、②夫が連れてきた他人の子を家族として受け入れる、③娘が学校でいじめられていることを知っても、母親が学校に乗り込んでいくことはせず、1人で困難に立ち向かっていくことができるよう、娘とぶつかり合い、娘を信じ、ひたすら家の前で娘を待つ等、赤の他人まで巻き込んで、「おかあちゃん」を中心に人間関係を構築していきます。周囲の人間も、余命わずかな「おかあちゃん」を支えるべく、自立して動いていきます。

 この映画で、”銭湯”の使われ方も興味深いものでした。銭湯は、その地域のコミュニティの場であり、かつ、宮沢りえ氏が演じる「おかあちゃん」を中心に、血のつながりのない者が結びついた”家族”の生活の場でした。
 そして、銭湯は、「おかあちゃん」が亡くなった後も、葬儀が営まれた場所であり、かつ墓地、埋葬等に関する法律上のルールに違反した火葬等、まさに「湯を沸かすほどの熱い愛」というタイトルにぴったりの使われ方でした。

 銭湯は、内風呂の普及で減り続け、東日本大震災で建物が壊れて、そのまま廃業するとことも多かったのですが、何でも私有できる時代に育った若者が、シェアやコミュニティに魅力を感じるようになった流れと並行して、最近では、銭湯に関心を持つ若者も増えていると言われています。2015年4月に、日暮里駅前の斉藤湯もリニューアルオープンしたのも記憶に新しいところです。
   
 銭湯のよさも再認識でき、かつ伏線もはられた、ストーリーやテーマがしっかりしている映画で、非常に楽しむことができました。
 ちなみに、墓地、埋葬等に関する法律に違反した火葬の罰金は、1000円以下の罰金又は拘留若しくは科料です。罰金等臨時措置法により、罰金の多額が2万円に満たないときはこれを2万円とすると定められていますので、罰金は2万円と思われます。
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