東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2015/12/14
大学の役割
 2015年12月12日に東京外国語大学 多言語・多文化教育研究センター主催の「これが多文化社会専門人材だ! 国内グローバル化と大学の役割」と題するシンポジウムに参加いたしました。私は、特定課題セッションの研究報告のメンバーの1人として、2014年3月以降、日弁連法務研究財団の助成金を得て研究をしてきた相談通訳認定試験(試行)に関する報告を担当しましたが、主に他の弁護士が報告をいたしましたので、私の発表は3分程度でした。

 このシンポジウムの基調講演や他の研究セッションの話を聞いていて、大学を取り巻く環境の変化を改めて感じました。
環境の変化としては、
・国立大学の法人化
・大学の評価に社会貢献が加えられていること
・東日本大震災による復興支援がきっかけで、大学の中でも社会貢献という意識がより強くなっていること
・グルーバル化が後押し。ス-パーグローバル大学の登場や資金(助成金)の取り合いになっていること
などが挙げられます。
他方、課題も多いようで、例えば
 ・伝統的に、基礎、応用、実践に分けて考えられ、実務家教員と研究家教員の壁が存在している。しかし、現場の問題の85%は本には書かれていない。
 ・組織的な取組みになっていない。属人的。
 ・メインストリームの改革に結びつかない。
 ・改革にタイムラグがある
 ・活動のための財源の確保
 ・大学の生き残り戦略としての改革の側面あり。
 ・多文化社会における専門職の人材確保・育成の必要性。他方、卒業単位の3分の2以上が指定科目で縛られ、大学の独自性が発揮しにくい。卒業後も非正規雇用、非常勤。
等などが指摘されていました。

このシンポジウムからは、従来の医師や弁護士、公認会計士のような国家資格が必ずしも存在しない分野において、専門職としての人材の育成と、専門職として確立させるための認定試験の提案等により、卒業生の雇用の確保、さらに社会貢献を果たすという、大学の生き残り戦略としての意気込みも感じました。
 株主との対話においてE(Environmental Issues)とS(Social Issues)に関するメッセージが必要であるのと同様(2015年12月13日ブログ「EGS 株主との対話」)、産学連携にも見られるように、財源確保という観点からも、大学もEとSに関する取組みとそのアピールが必要な気がいたします。
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