東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2015/10/19
LGBT施策
10月の連休中に、男性(日本人とアメリカ人)の同性婚カップルが日本で結婚式を挙げようと思っても断られ、確か八芳園だったと思いますが、神前式の結婚式と披露宴を挙げることができたという番組を拝見しました。日本人男性の家族は理解を示したものの、アメリカ人男性の親族には、聖書では同性愛を禁じていることを理由に、結婚式・披露宴への出席を断った方もおられたという内容でした。ちょっと前の日経ビジネスでも、LGBTが特集で組まれるなど、「LGBT」という言葉が少しずつ浸透しつつあります。LGBTの「L」はレズビアンを、「G」はゲイを、「B」はバイセクシュアルを、「T」はトランスジェンダーを意味します。

LGBTの人口に関しては、イギリスで2005年に行った調査によると、レズビアン・ゲイの数は360万人で、国民の約6%が同性愛者でした。日本では、2013年に電通総研が行った調査によると、人口の5.2%がLGBTであると発表され、2015年にも再調査が行われ、人口の7.6%がLGBTであるという数字が発表されています。これは、人口13人~20人に1人の割合で、日本で苗字の多い「佐藤」「鈴木」「高橋」「田中」さんの合計は約600万人だそうですから、同規模ということになります。アメリカの国勢調査(Census)で同姓カップルの世帯数がカウントされていて、2010年の国勢調査の結果では、ワシントンD.Cでは全世帯の1.8%が同性世帯です。

2013年12月に、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が改正され、男女雇用機会均等法第10条1項に基づいて厚生労働省が定める指針(「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」)の中で、職場におけるセクシャルハラスメントには、同性に対するものも含まれることが明示されて、2014年7月に施行されています。つまり、LGBT差別はセクハラと見なされます。労働政策審議会雇用均等分科会においても、雇用均等政策課長が性的マイノリティの方に対する言動や行動は、職場におけるセクシャルハラスメントになると考えている旨答えています。

それでは、LGBT施策として何をすればよいのかが次の問題ですが、これまで取り組まれた施策として、①差別禁止の明文化、トップマネジメントとして差別禁止のメッセージを出すこと、②同性パートナーを配偶者として扱うこと、③性同一性障害者への配慮(訴えてきた従業員に個別に対応する)、④相談窓口を設置すること、⑤職場内の啓発イベントを行うこと、⑥職場外でLGBTイベントに協賛すること、⑦LGBT市場への参入(例えば、前述の結婚式開催の取組み等)が挙げられます。

先進的にLGBT施策に取り組んでいる企業は日本でもいくつかあるところ、こうした企業のダイバーシティ部門の方の話によると、実は、LGBT施策を行うと、ダイバーシティ意識が高まるという指摘があります。女性と男性を分けて考えると、男女とも反感を買う人がいて、女性施策が進まないところ、LGBT施策により、より「個」として考えられるようになり、女性施策に関するブレイクスルーになるという指摘も拝読しました。
そして、ダイバーシティ意識が高い職場では、差別的言動が減り、人間関係がよくなる、人間関係がよくなるとカミングアウトしやすくなる、そして支援者(アライ)が増えると、さらに人間関係がよくなり、やりがいを感じる、さらにカミングアウトしやくすなって、カミングアウトすると勤労意慾がより高まるというよい循環も指摘されています。

現状のままで良いと思うと衰退が始まると言われ、規模を問わず、企業は常に成長し続けることを求められています。企業の成長は、やはり従業員の勤労意欲を高めて売上を上げることが一番で、LGBT施策は、企業の持続的成長の契機になる可能性を秘めていると思いました。
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