東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2015/9/10
嫉妬心の怖さ
 司法研修所卒業20周年大会への出席や弁護士会の原稿検討会の合宿参加等で、ブログの更新が遅れました。

先日読んだ本の中に、「ベトナム女性は強く男性はこぞって恐妻家」と言われるほど、ベトナムは“かかあ天下”の国で、男性の浮気が発覚した際には怒髪天となった女性が男性の局部を切り落とすなどの事件も珍しくないという記述を見つけました。ベトナムは、フランス時代の血統が混ざり、世界有数の美人の国とも言われますが、長年戦禍に巻き込まれ、男手が前線に送り込まれ、女性は銃後の守りを支えたという歴史的な背景もあり、ベトナム女性は、内には秘めた嫉妬心も心に留めておくべきという趣旨の記述でした。

 この本を読んで思い出したのですが、日本でも、今年のお盆の頃に、男性弁護士が局部を切り取られるという事件が発生し、先日も加害者が公判請求されたとの報道がなされていました。

 私は、密かに、冒頭の司法研修所卒業20周年大会の機会も含め、周囲の友人・知人の男性に、この事件の被害者と加害者のどちらに同情するかアンケートをとっていたところ、多くの男性は、局部を切り取られるという結果を踏まえ、被害者男性に同情しておりましたが、“どっちもどっちである”という意見や加害者に同情するという男性もおられ、中には、1人「自分はもてないから不倫できそうにないから、不倫していたとしたら、うらやましい、じゃなくてけしからん」、「愛妻家は無罪」として無罪説を唱える者もおりました(かかる冗談を言っているのは、夫です)。

 この事件は、高い倫理観を求められている弁護士が被害者であること、上司である被害者弁護士と部下である女性事務職員との間の関係、加害者は女性事務職員の夫で、弁護士を目指して勉強中の学生であったこと、被害者と加害者の経済的な格差、被害者のこれからも続くであろう精神的苦痛と、もはや法曹として働くことは難しくなった加害者の今後の人生等、色々な感情が渦巻き、いろんな視点から量刑を考えることのできる事案で、これが裁判員裁判なら、裁判員の評議は興味深いものになったと思います。
 裁判員裁判は、死刑又は無期の懲役、禁固に当たる罪の事件や、法定合議事件で故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件に限られているので、残念ながら本件の傷害罪は裁判官裁判で審理されます。

 本件のような事件の報道を目にすると、男性でも女性でも嫉妬心は恐ろしいと改めて思いました。私は、日々美貌格差と戦っていますが、自分にないものを羨ましがって嫉妬してはいけないなと思いました。
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