東京21法律事務所所属

弁護士 広津 佳子  Lawyer Keiko Hirotsu Official Site

ブログ
2014/12/12
GPIFの改革
先日、元日銀マンで、最後の出向先が年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund、GPIF)の審議役・企画部長であった玉木伸介氏(現在は、大妻女子大学短期大学部教授)のセミナー「GPIFの概要と改革の議論」を聴講する機会がありました。

 GPIFは、厚生労働大臣から寄託を受け、年金積立金の管理・運用を行い、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的としています。セミナーでは、GPIF改革として、私がメモをした範囲ですが、以下のような話がありました。
①運用目標として賃金上昇率+1.7%を達成する。賃金上昇率を上回る運用利回りの上乗せ幅(スプレッド)目標として、1.7%はなかなか厳しい。
②運用目標の達成のためには、これまでの国内債券を中心とした運用から、資産構成割合として50%を株式で保有する(国内株式25%、外国株式25%)。デフレ環境下では国内債券中心の運用で収益を確保できたが、今後は株式のリターンに依存しないと対賃金スプレッドが確保できない。
③事前積立方式ではなく賦課方式しかない。企業年金のような事前積立方式を実施すると、GPIFは日本の上場株式の全部を買い占めても運用ができない。しかも、経済学的には、事前積立方式も賦課方式も同じである。
④GPIFの運用資産残高は130兆円。このうちの25%を株式で保有するとなると巨大な機関投資家である(東証一部上場企業の時価総額は約500兆円)。
GPIFは、日本版スチュワードシップ・コードの受入れを表明している。GPIFによる株式保有が成長戦略に貢献するのは、GPIFの介入による株価の押し上げではなく、スチュワードシップ・コードの実践を通じた、”資本市場の高質化”である。
⑤GPIFのガバナンスの改革(理事長の専決ではなく、合議体で判断する)

議論は難しく、こう書いている私自身が、具体的に意味するところを理解することができませんでした。ただ、少なくとも、厚生年金に加入しておらず、国民年金しかない私にとっては、GPIF改革によって賃金上昇率を上回る運用利益が確保できたところで、年金だけで生活ができないのは明らかです。自助努力しかないと思った次第です。
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